ロゴ

メイン画像

2025年 2月 中嶋興監督 ご逝去の報告

2025年 2月 中嶋興監督 ご逝去の報告

命日:2025年2月4日5時1分
年齢:84歳 出身:熊本市 肩書:アーチスト


中嶋興監督は、アニメーションから出発し、その後、写真による記録と並行して、ビデオアーティストや著述家としても活躍されました。1970年には「ビデオアース」という運動体を設立し、メディアアートの創成期において重要な役割を果たされました。


また、手塚治虫先生と共に日本アニメーション協会を設立し、その活動を通じて日本のアニメーション文化の発展にも寄与されました。さらに、映像メディア作家として、人間の普遍的な経験をテーマにした作品『MY LIFE』を制作し、その作品は観る者に深い感銘を与えています。


中嶋監督は、香りとアートの融合にも深い関心を寄せておられました。特に、香道の基本理念である「天、地、仁」を実現させるべく、東芝様の協力を得て、遠距離から参加者や場所で芳香が変化するという理論のもと、温度を調整し拡散させる技術を活用するなど、新たな試みに取り組まれていました。これらの活動を通じて、香りのリズムを主体に、お香を温かな光の演出と共に、映像、詩の朗読、ダンスと融合させ、五感、そして第六感を研ぎ澄ませるアートとして表現することを追求されました。


心如金 (こころ きんのごとく 磨き輝く): 心は金のように堅く、磨かれて輝く 其言如蘭 (その いふ らんのごとく): その言葉は蘭のように香り高く 同類同胞相以て (どうるい どうほう あいもって): 同類同胞が互いに支え合い 先輩後輩其揆一也 (せんぱい こうはい そのき いつなり): 先輩後輩、その基準は一つである その所おなじうし千歳の因なるべし (せんざい のいんなるべし): この関係は千年もの因縁となるであろう


中嶋興監督の哲学は、私の言葉にならない暗愁を美しい愛として理解し、香道を通じて生きる喜びを体感させてくださいました。暗愁とは、心の奥にある自然の恩恵、輪廻転生、そして万物流転への愛と言えます。


中嶋興監督は、早いもので30年以上にわたり、私に映像と香りを融合させた表現を追求する機会を与えてくださり、環境プロデューサーとしてのアートにおける哲学や美学を深めるための貴重な学びを提供してくださいました。活動を共にしてきた尊い存在です。例えば、監督とは、賞味期限があるとされるスパイスや植物を単なる消費物ではなく、地球の貴重な資源として捉え、「エコをアートに昇華する」という理念を共有して歩んできました。


監督は今回、私のドバイ展示会への参加を強く後押ししてくださいました。そして来年には、未公開の手塚治虫作品のアニメと香りの演出、詩の朗読、ダンスなどを融合した新たな表現を共に実現するために、準備を進めてまいりました。


今年は、新たな映像の世界へ出発する節目となったブラウン管の最後の日から、ちょうど10年となります。私たちは昨年末まで共に活動し、海外講演や展示会の準備も進めていた仲間であり、監督の突然の訃報に深い悲しみとともに、その偉大な足跡を改めて胸に刻んでおります。


映像、詩の朗読、ダンス、香りの融合


監督は、火の使えない場所で、香道の基本理念である天、地、仁を実現させるべく、東芝様の協力を頂き、新たな試みとして、遠距離から参加者や場所で芳香が変化するという理論のもと、温度を調整し拡散させる技術を活用しました。「天、地、仁」という表現は、宇宙(天)、地球(地)、そして人間性や人間関係(仁)を意味し、自然界と人間の調和を大切にし、その響きの美しさを体感して頂くため、平安時代の風景である太陽の動きと共に巡る人々の優美な日常、日、月、星を実現させました。


香りのリズムを主体に、お香を温かな光の演出と共に、映像、詩人・草場裕氏の朗読、ダンス・松原東洋ご夫妻と融合させ、五感、そして第六感を研ぎ澄ませるアートとして表現することを実現しました。詩人の朗読で言葉の響きを実現させ、ダンスと香りは会場全体に流れるエネルギーを表現しました。まさに、現代のテクノロジー理論との融合でした。香りは、視覚や言葉だけでは伝えきれない感情や記憶を呼び覚まし、時を超えて輝き続ける力を持っています。


監督は常に、「視覚は一時の印象に留まるが、香りは記憶に深く刻まれ、再現可能である」という信念を抱いておられました。そして、ブラウン管が最後の日を迎えた節目に、私たちは監督と共に過ごした最後の時間を惜しみつつ、ブラウン管と録画テープへの感謝の儀式を捧げました。
長いご報告を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。この振り返りは、整理できず混乱していた私の感情を整える大きな助けとなり、未来へと繋ぐミッションを全うする契機となりました。


今後は、香道研究家・大倉基佑氏や詩人・草場裕氏のご指導を賜りながら、香道の奥深い哲学と芸術の融合をさらに追求してまいります。また、引き続きアーティスト仲間と共に、「香りとアートの新たな可能性を探求する」という監督から託された理念、普遍的な価値観、自然との共生、調和、心の豊かさを大切にし、中嶋興監督からいただいた無限なる愛、自分の心を大切にすること、暗愁が私の心の拠り所であり、決して利己的な主観ではないことを心の支えにしっかりと引き継ぎ、環境プロデューサーとして未来の創造を深化させる所存です。


そして、私は自分の心を大切にし、自信を持って生きていくことの重要性を皆さんに伝えたいと思います。アートは、どんな困難があっても共感できる自分磨きの居場所であり、自分の価値を表現する場所であると信じ続けています。


皆さまの創造的な芸術を深化させる上で、どのようなインスピレーションや導きを感じていらっしゃいますか?


監督の言葉と創造は、私たちの中で永遠に生き続け、これからも新たな表現の源となることでしょう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。


西日本香りと文化の会 ウエルネス香道 環境プロデューサー 森 光瞳

 

img_3339img_3342

img_3344

カテゴリー:新着情報

投稿日:2025年03月03日